人身事故を起こしてしまった!〜あなたがすべき4つのこと・すべきでない5つのこと〜
決して他人事ではない
平成19年の警視庁資料によると、車の免許を持つ人が人身事故を起こす確率は1年間で約0.92%、50年乗り続けると約37%になる。
交通事故の加害者になることを普段から想像できている人は多くないだろう。しかし、誰しも加害者になってしまう可能性がある。
もしも加害者になってしまった時、冷静に事故対応ができるかどうか。日頃から備えをしておくに越したことはない。
知ってる人も復習の意味で再チェックよ!
加害者がすべき4つのこと
★1. 4つの「緊急措置義務」を速やかに行うこと
交通事故を起こしてしまった加害者には
「緊急措置義務」がある。
道路交通法第72条1項前段に規定されている法律である。
「緊急措置義務」
直ちに運転を停止すること
(運転停止義務)
運転者は交通事故を起こしたと考えられる場合には、直ちに運転を停止 し、人や物への被害状況など、現況の確認を行うこと。
直ちに負傷者を救護すること
(救護義務)
運転者は、負傷者の救護を行う こと。具体的には救急車の要請と医療機関での治療が受けられる状況にすること。これを怠たり被害者を負傷(死亡)させた場合、道路交通法117条2項により、「10年以下の懲役または100万円以下の罰金」が課せられる。
直ちに道路上の危険物を除去すること
(危険防止措置義務)
運転者は事故車両や積み荷などが散乱した場合には、これを放置せず、移動させなければならない。発煙筒や三角表示板なども用いて危険防止措置を行うこと。
直ちに警察に連絡すること
(報告義務)
運転者は直ちに警察に連絡する こと。負傷者の救護が必要な場合には運転者はそちらを優先し、警察への連絡は現場の通行人などにお願いすると良い。軽い事故の場合でも警察への報告は法律上の義務であることを忘れずに。また、警察を呼ばないと作成できない書類があるため、保険金の請求をする上でも必要となる。
まず、止まる。次に助ける。
さらに周囲に知らせる。
警察に連絡。
この4つはどんなにテンパってても忘れないこと!ゴロ合わせでもなんでもしなさい!
★2. 事故の記録の保存
現場状況の保存
警察に通報したあと、来るまでの時間に事故現場の状況を可能な限り保存する。ドライブレコーダーの録画データは上書きされる前に必ず保存しておくこと。
必要ならメモ書き
車の損傷箇所は全て写真に撮っておく、事故の客観的な証拠になる。事故の一連の流れについてはしっかりと覚えておく必要がある。記憶が鮮明なうちにメモで字にしておくとよいだろう。
ドラレコの映像次第では、その後の過失割合にも影響が出るわ。事故後のデータうっかり取り出し忘れて「消えてましたー」なんてないようにね!
★3. 相手との連絡先の交換
今後自分の保険会社から相手側に連絡をする際にも必ず必要となる。必ず聞いたその場で電話をかけ、番号に誤りがないことを確認すること。
電話番号以外にも相手の基本情報である「氏名」「住所」「車両ナンバー」などは把握しておくこと。
事故の加害者になった場合には、誠意を持ってお詫びすること。
「お怪我はありませんか?」と相手に声をかけることも今後の示談交渉を円満に進めることにつながる。
ただし、不用意な発言は避けるようにし、詳しいやり取りについては警察や保険会社に任せること。
「すいません」が口癖の人は要注意ね。悪意のある相手もいるから安易に使わないように口にガムテープ貼っときなさい。
★4. 保険会社への連絡
自分の加入している任意保険会社へ連絡する。保険会社の担当者に事故の報告を行った上、事故後の処理・対応について確認する。相手方との示談交渉なども円滑に進めてもらう。
加害者がすべきではない5つのこと
★1. 「緊急措置義務」を怠ること
交通事故を起こしてしまった加害者には「緊急措置義務」がある。道路交通法第72条1項前段に規定されている法律である。
★2. 警察に虚偽の説明を行うこと
実況見分調書は裁判に重要な証拠として取り扱われる。事実と異なる説明は自身にとって不利益を招く可能性がある。
警察との対応では事実をありのまま主張し、自分にとって不利な事実も正直に報告すること。逆に事実とは異なることに安易に同意せず、事実を主張すること。
★3. その場で示談に応じる
事故現場で被害者と示談で済ませること。
★4. 現金を支払うこと
被害者が執拗に現金の支払いを要求してくる場合にも、決して支払わないこと。交渉は保険会社に任せる。
★5. 念書などの文書を書いてしまう
「無制限」はあくまで基準内の話
自動車保険の賠償が「無制限」であっても、これはあくまで「法的に認められた賠償義務」の範囲内でのことである。損害賠償額の決定には基準があり、所定の算定方法で決定される。つまり、その基準から外れた部分は保険会社からの賠償は受けられないのである。
絶対に書かない!と覚えておくこと
どんなに気が動転したとしても「念書は決して書かない」と前もって覚えておくこと。被害者が念書の作成を要求してきた場合には、交渉は保険会社に任せるとだけ答えること。
先ずは道路交通法で決まっているルールを守って対処すること。慌ててパニックになりそうでも、一旦気を落ち着けてから適切な対応をするように心がけてね!